昔から「お地蔵さま」として広く親しまれ、街中などのさまざまな場所で目にする「地蔵菩薩」。
しかし地蔵菩薩の役割やご利益については、あまり知られていないようです。
この記事では地蔵菩薩の役割とご利益、関連書籍を紹介します。
地蔵菩薩とは
出典:MIHO MUSEUM
地蔵菩薩は大きな慈悲の心で、全ての生きとし生けるものを救済するといわれる仏様です。
サンスクリット語で「クシティガルバ」といい、クシティが「大地」、ガルバが「胎内・子宮」を意味し、意訳して「地蔵」と名付けられています。
日本では「子供の守り神」とした信仰により、子供が喜ぶような菓子などが供えられ、「お地蔵さま」「お地蔵さん」と親しみを持って呼ばれています。
地蔵菩薩の役割
仏教の教えには極楽浄土と地獄の思想があり、その存在が広く信じられるようになると、地蔵菩薩は地獄に落ちた人々を救済する存在となりました。
釈迦が入滅する際、約56億7000万年後に弥勒菩薩が現れるまでの無仏の期間において、地蔵菩薩に衆生を救済することを委ねます。
地蔵菩薩は六道全ての世界に現れ衆生を救う菩薩とされ、特に弱い立場のものを救済することで高い人気を誇っています。
(六道:地獄道・飢餓道・畜生道・修羅道・人道・天道)
また、仏教では人は死ぬと六種の世界へ生まれ変わると考えられています。
その都度六つの地蔵に救済されるという六道輪廻の思想から、六つの地蔵菩薩が並んでいるところもあります。
地蔵菩薩のご利益と真言
「地蔵菩薩本願経」によると、地蔵菩薩には三十三のご利益があると説かれています。
◆ご利益
無病息災・五穀豊穣・交通安全・安産・子供守護・先祖菩提・戦勝祈願など
地蔵菩薩のご利益は多岐に渡るため、願い事は現実的なことをできるだけ具体的に願うのが良いといわれています。
◆真言
「オン・カカカ・ビサンマエイ・ソワカ」
お地蔵様の真言を唱えると、お地蔵様の大きな慈悲の心によって救済され、地獄に堕ちることはないといわれています。
しかし寺院に祀られている地蔵菩薩にはそれぞれ得意分野があるので、参拝する際は事前に調べて行くことが大切です。
また街外れなどに古くからお立ちになる地蔵菩薩には、「飢餓に苦しむ人がいなくなりますように」など心を込めて祈り、自分の願いは後回しにします。
霊場や墓地、または事故の現場などに祀られている地蔵菩薩に参拝する場合は、自分の願いごとはせずに亡くなった人へのご冥福を祈りましょう。
まとめ
古くから親しまれてきた可愛らしい子供のような「地蔵菩薩」。
「お地蔵さん」「お地蔵さま」など親近感がある存在ながらも、ここまで慈悲深く大きなパワーのある仏様だと知らなかった人も多いでしょう。
多岐に渡りたくさんのご利益がある地蔵菩薩。
デザインとしてはシンプルですがご利益から刺青の題材として選ぶ方も多いようです。
地蔵菩薩が記述されている書籍一覧
◆『地蔵菩薩:地獄を救う路傍のほとけ』
下泉全暁/春秋社
発売日:2015年11月26日
◆『悲しみが心をひらくー「地蔵菩薩本願経」を読む』
藤原東演/鈴木出版
発売日:1990年2月1日
◆『お地蔵さんのお経ー地蔵菩薩本願経講話』
太田久紀/中山書房仏書林
発売日:2002年6月1日
◆『あなたを必ず守ってくれる地球のほとけ お地蔵さま』
羽田守快/大法輪閣
発売日:2017年7月15日