刺青のモチーフ鬼のメイン画像

妖怪 昔話

鬼の刺青|酒呑童子の物語をメインに鬼のタトゥーデザインまでご紹介

鬼は、近年では吾峠呼世晴氏の『鬼滅の刃』や白井カイウ氏・出水ぽすか氏の『約束のネバーランド』のような漫画に、戦前には浜田廣介氏の『泣いた赤鬼』のような児童文学に、古くは『桃太郎』のような御伽草子に描かれている多くの創作の題材となっている鬼。

完全な創作だけではなく、実在の人物による鬼退治の伝説も存在する。その中でももっとも有名なものは酒呑童子の伝説です。

本記事ではサブキャラクター的な鬼のデザインから酒呑童子/茨木童子といった大鬼の物語までをご紹介いたします。

刺青デザインの特徴

鬼のイメージは赤や青の体に角が12本映えているものを想像するのではないでしょうか?

サブキャラクターとして登場する鬼はその様な容姿のデザインが多いですが、大ボスの様な鬼は人に近い容姿をしております。それもまた漫画のようですね。

鬼の逸話

登場人物(鬼)

宿敵「酒呑童子」の画

大江山の鬼:酒呑童子

茨木童子の画

茨木童子

鬼退治で有名な源頼光の画

鬼退治で有名:源頼光

酒呑童子

酒呑童子(しゅてんどうじ)とは丹波の国の大江山に住んでいた鬼の大将の名前です。

大酒飲みであったことから、このような名前で呼ばれておりました。

酒顛童子、酒天童子、また顔が赤かったことから朱点童子と表記されることもあります。

また、住んでいた場所は大江山ではなく山城の国の大枝山であったとする説もあり、実在の盗賊の首領がモデルであると主張する学者もいます。

大江山の鬼退治

10世紀末、京都において若い男女が次々に神隠しにあう事件があった。時の天皇であった一条天皇は、安倍晴明に原因を占わせたところ鬼の仕業であると清明は告げました。そこで、一条天皇は、源頼光(みなもとの・よりみつ)と藤原保昌(ふじわらの・やすまさ)に都を騒がせる鬼の討伐を命じました。

同行した者には、筆頭である渡辺綱(わたなべの・つな)、昔話『金太郎』のモデルとなった坂田公時(さかたの・きんとき)、群馬県の四万(しま)温泉の発見者としても知られる碓井貞光(うすい・さだみつ)、坂上田村麻呂の末裔とされる卜部季武(うらべの・すえたけ)がいて、彼らは頼光四天王と呼ばれます。

彼らは神便鬼毒酒と呼ばれる毒の酒を八幡大菩薩からもらい、鬼にその毒酒を振る舞うため、酒盛りをしました。

歌川国芳による絵画『大江山酒呑童子退治』

歌川国芳
『大江山酒呑童子退治』

酒呑童子に飲ませて眠ったところで首をはねたところ、だまし討ちにあった酒呑童子は激怒し、死してなお源頼光の兜に噛みついたという伝説が残っています。

酒呑童子退治の画

歌川 芳艶
『大江山の酒呑童子と源頼光主従』

出典元:Wikipedia

丹波の国ならびに山城の国は現在でいう京都府にあたるが、大分県にも酒呑童子伝説が存在する。

こちらも鬼退治の伝説であるが、「大酒飲みの鬼を退治した伝説」ではなく「大酒飲みの少年が鬼を退治した]

という伝説であります。

昔、日田に乳のかわりに酒を飲むほどに酒好きであった子供がいました。少年は酒呑童子と名付けられました。

酒呑童子は近くの山に鬼が出ると聞きつけて鬼退治に向かいました。そこで、鬼と酒の飲み比べをすることになりました。酒呑童子は50升(約90リットル)もの酒を飲んで、見事鬼との勝負に勝ちました。この伝説から、鬼がいた山は酒呑童子山と現在も呼ばれています。

茨木童子

酒呑童子の右腕のような家来であるが、有名な渡辺綱との戦いの物語は複数の文献が残っており内容がそれぞれが異なっています。

容姿も文献により異なり、「男女どちらの鬼か」すら定かではないです。

一般的な戻画たりは「戻橋」+「茨木」を組み合わせて構成されることが多いです。今回はこの組み合わせともう一つの説「羅生門」の説をご紹介します。※羅生門の鬼と茨城童子は別物です。

「戻橋」(歌舞伎)

ある日渡辺綱は一条戻橋の上で困っている若い女に遭遇します。助けるために馬に乗せると突然女は鬼の姿になって綱の髪の毛を掴み愛宕山につれさろうとしますが、綱は名刀「髭切」で鬼の腕を切り落とし追い払います。

豊原国周による『一條戻橋の場』  浮世絵

豊原国周
『一條戻橋の場』 浮世絵

出典元:梅松山 円泉寺

「茨木童子」(歌舞伎)

切り落とした鬼の腕を安倍晴明に見せ相談したところ、「鬼が腕を取り戻しにくるから物忌み(家にこもり身を守る)、その間家の中に誰も入れてはいけない」「腕は箱に入れて封をするよう」言われます。

そして七日目。門を閉ざした渡辺邸に摂津の国の叔母・真柴が綱が訪ねてきました。綱は事情を話し帰そうとしましたが「育ての親に対してこの仕打ちか」と嘆きます。綱は仕方なく叔母を屋敷に入れます。

叔母は綱が切り落とした鬼の腕を見せてくれと言います。綱が鬼の腕を持ってきてみせると突然、伯母は鬼の姿になり腕を持ったまま飛び去ってしまいました伯母は実は茨木童子の化けた姿でした

月岡芳年画『新形三十六怪撰』より「老婆鬼腕を持去る図」

月岡芳年画 『新形三十六怪撰』より「老婆鬼腕を持去る図」

出典元:Wikipedia

羅生門

羅生門のパターンは大江山で酒呑童子を倒してしばらくした頃、源頼光と四天王一行は酒宴の席で、近頃羅生門に鬼が出るということが話題に上がりました。 その後鬼を倒しに出かけ、綱が出くわし腕を切り落とした鬼が茨木童子、という物語です。

鬼が記述されている書籍一覧

鬼と異形の民俗学ー漂泊する異類異形の正体 単行本(ソフトカバー) – 2021/7/20

まんが訳 酒呑童子絵巻 (ちくま新書) 新書 – 2020/5/8

定本 酒呑童子の誕生――もうひとつの日本文化 (岩波現代文庫) 文庫 – 2020/9/16

まとめ

有名どころの鬼は酒呑童子、茨木童子あたりですが、鬼は日本の文献に度々登場します。

刺青のデザインとしてサブの題材として登場することが多い鬼、大鬼でなくても刺青の題材となりえる魅力的なキャラクターをしております。武将の対となるモチーフとして検討してみてはいかがでしょうか?

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