平安時代中期の豪族・平将門の娘で、伝説上の妖術使いとされる「瀧夜叉姫(たきやしゃひめ)」。
本来の名前は「五月姫」、または「瀧姫」とも呼ばれます。
天慶の乱にて父・平将門が敗れ、一族郎党は滅亡。
生き残った五月姫は恨みを募らせ、やがて妖術使い「瀧夜叉姫」と化します。
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この記事では妖術使いとなった滝夜叉姫の生涯と、関連書籍、タトゥーデザインを紹介します。
討死した父の無念を晴らす
平将門の娘・五月姫は、天慶の乱によりあえなく討死した父の無念を晴らそうと決意します。
しかし女の身であるが故に力で敵うことは難しく、貴船神社に七日七夜参拝しました。
京の都・鞍馬山に鎮座する貴船神社は、丑の刻(午前1時から3時頃)に参拝すると心願が叶うと古くから言い伝えられています。
そこに君臨する荒神は「呪詛神」として有名です。
そして満願の夜になり、五月姫は貴船明神の呪詛神「荒御霊(あらみたま)」に妖術を授けられ「瀧夜叉姫」と名を改め、下総国相馬の城に向かいます。
朝廷への反逆
※上記の絵はがしゃ髑髏の絵として有名ですが、実際は瀧夜叉姫が骸骨を操っている画です。
妖術を手に入れた瀧夜叉姫は父の恨みを晴らすべく下総国へ戻り、夜叉丸や蜘蛛丸ら手下を集め、大骸骨を操り相馬の城にて朝廷へ反旗を翻(ひるがえ)します。
朝廷は瀧夜叉姫成敗を勅命(ちょくめい)し、陰陽師・大宅中将光圀(おおやのちゅうじょうみつくに)と山城光成に下します。
瀧夜叉姫と激闘の末、最後は光圀が放った陰陽師の秘術により、あっけなく成敗されたといわれています。
そして、瀧夜叉姫は死ぬ間際に心を改め、平将門のもとへ昇天したと伝えられています。
つくばに残る瀧夜叉姫伝説
現在の茨城県つくば市に残る瀧夜叉姫の伝説では、妖術使いではなく朝廷から逃れるために出家して、尼として生涯を遂げたと伝えられています。
五月姫が逃げ込んだとされる西福寺では、「如蔵尼(にょぞうに)」という尼であったといわれています。
毎年行われる施餓鬼供養で備えられている塔婆の戒名には、如蔵尼の文字も刻まれています。
過去には「夜叉」と呼ばれていましたが、今では地元の人たちに「瀧夜盛姫」と呼ばれ現在も線香が手向けられているとのことです。
瀧夜叉姫が記述されている書籍
瀧夜叉姫 陰陽師絵草子 第一巻 (ヒューコミックス) コミック – 2020/11/4
瀧夜叉姫 陰陽師絵草子 第二巻 (ヒューコミックス) コミック – 2021/8/4
瀧夜叉姫 陰陽師絵草子 第三巻 (ヒューコミックス) コミック – 2022/4/4
まとめ
父を討たれた恨みから妖術を授けられ、朝廷への反逆を起こした瀧夜叉姫。
瀧夜叉姫の生涯については、陰陽師との闘いのあと成敗されずに奥州へ逃れ、その後改心して尼になり暮らし続けたという説もあります。
実際には五月姫(瀧夜叉姫)は存在が不明とされていますが、如蔵尼は将門の三女として記録が残っています。
現在は西福寺はありませんが、かつての西福寺跡に滝夜叉姫のお墓があり、すぐそばに位置する東福寺によって今もなおその伝説が語り継がれています。
国芳の大骸骨の絵は知っているが、瀧夜叉姫が関連しているとは知らない方も多いのではないでしょうか?瀧夜叉姫は将門同様、負のイメージが強いですが刺青のデザインとしては非常に映えるデザインです。がしゃどくろと組み合わせて刺青にするのもよいでしょう。