さまざまな神々が登場する『日本神話』。
この世界に最初に現れた神は、男女の性別がない特別な神々でした。
『神代七代(かみよななよ)』と呼ばれる時代に入ると、次第に男女の性別が分かれた神が現れるようになります。その最後に現れたのが『イザナギ』と『イザナミ』でした。
始祖の神様というわけではありませんが、絵で残る最初の神様です。刺青の題材としても資料が少ないためか彫っている人は少ないです。
この記事では、日本国の誕生とさまざまな神生みを成し遂げた二人の神、イザナミとイザナギの逸話を紹介します。
デザインの特徴
「国生み」の絵が有名でイザナギは矛を持って下界をかきまぜており、イザナミはそれを見守っております。タトゥーデザインとしてもこの絵のイザナギがよく利用されます。
イザナミは動きなく描かれている為あまり刺青のデザインとして採用されることは少ないようです。
イザナギ、イザナミの逸話
高天原
はるか昔、天上の高天原(たかまがはら)に住む神様たちは、まだ固まっていない生まれたばかりの下界を見下ろしていました。
下界をしっかり固め国造りをするようにとイザナギノミコトとイザナミノミコトという二人の神様に命じ、天沼矛(あめのぬぼこ)という大きな槍(やり)を与えます。
地上の世界
イザナギとイザナミの二人が、地上へつながる浮桟橋(うきさんばし)から天沼矛で下界をかきまぜると、引き上げた槍の先から落ちたしずくが固まりひとつの島ができあがりました。
この島を『おのころ島』といいます。
二人の神様はこの島に立派な御殿を建て結婚の儀式を交わし、次々と国を生み出し日本列島となる『大八島国(おおやしまのくに)』を造りました。
更にイザナミは山や海など森羅万象の神々を生み出しますが、火の神・カグツチを生んだ際の大やけどがもとで亡くなってしまいます。
悲しみに暮れるイザナギは、イザナミの命を奪った火の神を許すことができず、剣で斬(き)り殺してしまいました。
黄泉の国
イザナギは死者の国『黄泉(よみ)の国』へ向かい、イザナミを連れて帰ろうとしますが、イザナミは黄泉の国の食べ物を食べてしまったため、帰れないと断ります。
でもせっかく迎えに来てくれたからと、イザナミは黄泉の国の神様にかけあってみることに。その間は決してのぞかずに待つようイザナギに伝えます。
しかし待ちくたびれたイザナギは、イザナミとの約束を破り扉の中へ。
そこでイザナギが見たものは、うじ虫がたかり八雷神(やくさのいかづちがみ)に囲まれたイザナミの姿。その姿に恐れをなしたイザナミは、地上続く黄泉平坂(よもつひらさか)へ向かって逃げ出します。
永遠の訣別
追いかけてくる八雷神、黄泉醜女(よもつしこめ)という悪霊たちに、髪飾りから生まれた葡萄の実、櫛(くし)から生まれたタケノコ、そして坂のふもとに生えていた桃の木の実を投げつけると、悪霊たちは逃げ散りました。
最後にイザナミが迫ってきたので、イザナギは黄泉の国と地上との境である黄泉平坂(よもつひらさか)の地上側出口を大岩で塞ぎます。
岩の向こうからイザナミが「あなたの国の人間を1日1000人殺します」と叫ぶと、イザナギは「それなら地上では1日1500人生まれるようにしよう」と答え、ニ人は別れ別れに。
黄泉の国への道は永久に閉ざされ、それからは亡くなる人よりも生まれる人の方が多くなり、地上の人間は次第に増えるようになったのだとか。
イザナギとイザナミが記述されている書籍
絵本古事記 よみがえり──イザナギとイザナミ 単行本 – 2015/11/30
大人も子どもも 読んで、聞かせて、楽しんで 日本の神様のお話 上 単行本 – 2016/4/5
図解 日本神話 (F-Files No.033) 単行本(ソフトカバー) – 2011/11/1
日本の神様の「家系図」 (青春新書インテリジェンス) 新書 – 2020/12/2
古代の鉄と神々 (ちくま学芸文庫) 文庫 – 2018/7/6
イザナギ、イザナミが題材の絵
まとめ
その後の二人について、イザナミは黄泉の主宰神となり、黄泉津大神(よもつおおかみ)、道敷大神(ちしきのおおかみ)と呼ばれるようになりました。
そしてイザナギは、黄泉の国での穢(けが)れを落とすために禊(みそぎ)を行っていると、様々な神が生まれ、最後に最も貴いとされる『三貴子(みはしらのうずのみこ)』と呼ばれる三人の神が生まれます。
奇(く)しくも三貴子の一人『スサノオノミコト』を追放することになるイザナギは、その後は淡路島の多賀の幽宮(かくれみや)に篭(こも)ったと言われています。
古事記に描かれる神様の中で刺青の題材としては『スサノオノミコト』の方が人気の様で詳細はそちらの記事も参考にしていただければと思います。